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投資特集と生存者バイアス [FP]

日経平均株価が3万円を越えテレビ、雑誌などで投資特集がまた増えてきた印象があります。

新聞の書籍広告にも投資本が増えてきています。

中には数十万円の元手資金から億単位の資産を築いたという投資家の経験談が雑誌の特集に載ったり書籍として出版されています。

このブログを読んでいる方は投資の経験がある方が多いと思いますのでもうおわかりでしょうが、そうした成功者は「生存者バイアス」の結果に過ぎません。

生存者バイアスとは成功者の主張のみが残るのであって、その陰には失敗した方がその何倍も存在するわけです。

話が少しずれますが日本はエビデンスベースに基づいた標準ガン治療が保険適用で受けられます。一方でガンは放置に限るという意見の専門家も存在します。

ガンを放置した結果、生き続けている方はその専門家を支持するでしょう。まさに生存者バイアス。その陰で治療が遅れてしまい亡くなってしまった方がたくさんいるのです。まさに死人に口なしです。

投資業界で有名なcis氏も最初は投資のスタイルが確立できず数十万円まで資産を減らした経験があると本に書いています。そこから快進撃を続けてましたが他人が真似しようとしても再現性は薄いです。

私は基本的にiDeCoとつみたてNISAを活用した投資を中心に行っています。たまに個別株を買うこともありますがルールを決めています。それはレバレッジを掛けない、つまり信用取引を行わないということです。

新卒で入社したネット証券会社が信用取引でのし上がった会社なので信用取引の表裏、特に裏側も理解しています。信用取引だけでなく日経平均先物でも定期的に利益を出せている投資家は一握りだと思います。

雑誌や書籍で登場する成功した投資家の真似をするなら信用取引の利用は欠かせないでしょう。ただ数十万円の元手から億単位の資産を投資で築けるのはまさに一握り。その陰で「二度と投資なんてするか」と決め込む人の数の方が圧倒的に多いです。

億単位の金融資産保有者を「億り人」と一部で呼ぶらしいですが、億という単位にこだわらなければiDeCoやNISA、つみたてNISAで低コストのインデックス投資信託を毎月、コツコツと積み立て購入するのが資産を増やす可能性の高い方法と言えるでしょう。

もっともインデックス投信の積み立て投資が100%儲かるとも言えません。今はiDeCoやつみたてNISAで利益が出ている方も米国市場が仮に崩れれば含み益は一転、含み損に変わってしまうことでしょう。

それでも積立投資を継続するべきです。個別株や先物投資を行うよりも多くの生存者を結果的に生み出すことになると思います。

億には届かないかもしれませんが、相場の世界に居続けることを優先すべきです。

レバレッジを効かせた投資方法で億り人を目指すなとは言いません。自信のある方はどうぞ。少なくとも過去の私は生き残って生存者バイアスとしての成功者にはなれませんでした。

その結果としてたどり着いたのがiDeCo、NISA、つみたてNISAだったということです。

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DIE WITH ZERO【ビル・パーキンス著】 [書評]

アリとキリギリスのイソップ物語では最終的にはアリに軍配が上がりますが、疑問点があります。それはアリはいつ人生を楽しむのか(お金を使うのか)ということです。

著者は理想なのは死ぬ時に預金ゼロでも構わないように「今」しかできない経験にお金をかけるべきだと何度も主張しています。

子供がいる場合は子供がお金を必要としている時期に生前贈与をして残った資産は自分の経験、思い出作りに使うべきと書いています。

日本では高齢者の遺産相続を高齢者が受け取っています。著者の調査によると米国では30歳から45歳の間に相続を受けたいと考える人が多いとのことです。

日本の老老相続では本当にお金が必要な時に使うことができません。もっとも教育費として子供に投資することはあります。ただ、日本ではまだ生前贈与のような行為は子供の金銭感覚を駄目にするとかいう理由で否定的な見方が強いです。

若い頃から貯金をして将来に備えることは大事な一方、あまりにストイックな節約は若い時代の思い出作りの機会を無駄にしてしまいます。

引退後に行く海外旅行では思うように体が動かないだろうし、海外旅行の醍醐味は若い時期に行くことであり、得られるものも多いと個人的には思います。

日本のみならず世界中で老後不安からの節約志向が広まっていますが、「今しかできないこと」「思い出作りになる経験」には思い切って貯めている資金を惜しげもなく使うべきです。

著者はアリとキリギリスの話を例に出し、もっとアリは遊ぶべきだしキリギリスも少しは働くべきという上手い塩梅のバランスが人生に必要と書いています。

資産はあの世には持っていけません。かと言って老後も金銭的不安もわかります。でもそれ以上に「今しかできない経験」にお金をかけるべきだと言う著者の意見には賛同できる部分もあります。

高齢者になって金銭的に余裕があっても、できることは限られているし「若い頃にあれをしておけば良かった」という後悔をしないようにバランス良く資産運用と消費を行いたいものです。

そもそも「お金」は使ってこそ意味のあるものなのですから。


DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: Kindle版



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久々にみずほ銀行のネット口座にログインしようとしたが [日常]

恐らく最終利用から5年以上経っている、みずほダイレクト(みずほ銀行インターネットバンク)にログインしようとしたところエラーが出てコールセンターに電話してくれとの案内が出ました。

そこでコールセンターに電話したところ、何らかの事情で口座利用できない状態なので支店に行ってくださいと言われました。

私のみずほダイレクトのIDは富士銀行時代のものだし、ログインしていなかった間に支店の統廃合も進んだので仕方ないのかもしれません。

先日、みずほ銀行のシステム統合が終了したとのニュースを聞いてメガバンクではシステム的に優位に立ったと思ったみずほ銀行ですが、やっぱり完全なシステム対応は難しかったようです。

平日の昼間に最寄りの支店に行くほど急な事態でもないのでこのままにしておこうと思います。そもそも残高もほぼない口座ですので。

最近、コールセンターのAI対応が進んでいると言われますが、AIが対応できるのはホームページのQ&Aに載っている情報ぐらいなものです。私の今回のようなイレギュラーな問い合わせにはAI対応は無理です。

AIが今後、進んでもコールセンターのオペレーターは、数は減ってもいなくならない職種だなと感じた出来事でした。

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買いは家まで売りは命まで [FP]

米国ゲームストップ株の乱高下が話題になっています。

米国のSNSであるレディットを見てロビンフッドなどのスマホ証券や他のネット証券で取引している投資家(今回は投機家)が数百万単位でいるようです。

ただ銘柄を買うだけでなく米国は個別株のオプション取引も可能なので、無くなっても良いような資金でコールオプションを購入している人もいるとのことです。

今回の件で「ヘッジファンド対個人投資家(投機家)」の争いとメディアは書いていますが、実情は色々と複雑なようです。

そもそもロビンフッド社はなぜ売買手数料を無料にできるのか?日本のネット証券も約定代金50万円や100万円までの売買手数料を無料にしているケースもありますが、日本のネット証券の場合は完全に赤字覚悟です。損して元を取るという戦略と他社との競争で無料枠が拡大しています。

一方、ロビンフッドのビジネスモデルは投資家(投機家)から手数料は取りませんが、代わりに売買の鞘を抜いて儲けにしています。

そうなるとロビンフッド社を利用している投機家はあくまでユーザーであり、真の顧客は鞘を抜いているヘッジファンドやマーケットメイカーだったりするわけです。

証券会社の取引が増えるほど決済機関に預ける預託金も急増するのでロビンフッドは一時的に取引を停止する必要が出たようです。その後、資金調達の発表がありましたが、今の勢いでは再び取引停止になる可能性もあります。

そうした中、「取引できないのは不公平」だという声も上がり始め、他の証券会社経由の売買も急増し証券会社のサイトが落ちるケースも出ました。

共和党、民主党の両側から今回の騒動について意見が出ていて、今年、上手く行けば上場する予定と言われていたロビンフッド社が今後、どうなるのか注目に値します。

日本のネット証券でも米国株を扱える会社が数社ありますが、ゲームストップ株の取引に関しては停止しているようです。

無くなっても良い資金でコールオプションを購入する投機家が急増するということは相場の世界における神風特攻隊のようなものでショートポジションを持っている方は恐怖を感じると思います。

ただ、いずれこんな祭りも終わりを迎えると思います。相場の格言で「買いは家まで売りは命まで」という言葉があります。ショートポジションの損失は無限大であることから出来た格言です。

今回はショートポジションを持っていたヘッジファンドが致命傷を受けましたが、最終的にお金を失うのはこの祭りに参加した個人投機家だと思います。

まだ無くなっても良いという資金で祭りに参加している人、冷静に物事を見ながら祭りを先導している人はまだしも、金融リテラシーもなく一発逆転を狙ってこの祭りに参加している個人投機家には痛いしっぺ返しが来ると思います。

金融大国アメリカと言っても一部の投資家(投機家)のリテラシーはこの程度です。一方で低コストのインデックスファンドに定期積立を行い質素な生活を心がけているFIREと呼ばれる言葉を生んだのも同じアメリカです。

投資家と投機家が混在する米国市場の多様性は羨ましい面もあります。それだけ流動性が高い市場がある訳ですから。

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