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CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃【野口悠紀雄著】 [書評]

今年で82歳になられる野口悠紀雄一橋大学名誉教授による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の解説書です。

野口氏と言えば近年、書籍の発行ペースが驚異的であり、雑誌にも定期的に記事を提供していて「よく時間があるな」と思いがちです。からくりは執筆を音声入力でほぼ終えているからこのペースで続けられるとのこと。まさに最新の「超」仕事術です。

さて先日、メタ(旧フェイスブック)が計画をしていた暗号通貨のディエム(旧リブラ)構想を諦めるといった趣旨の報道がされました。

技術ごとディエム事業は他社に売却するようです。従ってディエム構想が完全に消えた訳ではなさそうです。

仮にディエムが実現していたら数十億人が使用する通貨が誕生して、米ドルの世界支配に影響を与えるところでした。資本主義諸国の中央銀行や金融関係者の圧力にメタは勝てませんでした。

一方、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関しては中国を筆頭に各国が制度設計を急いでいます。

特に中国のCBDCは実用化が近いと言われる一方で不明瞭な部分も多いとされています。

中国としては米ドルに対抗するためにCBDCを実現したいのでしょうが、制度設計次第では自国から資金流出が加速する諸刃の剣状態です。

中国人の間でも既存のアリペイやウィーチャットペイで特に生活に問題がないので、CBDCに対して盛り上がりが欠けるようです。

今後、CBDCを実現する大国が出てくるのでしょうが、資金の動きをすべて中央銀行に把握される社会が来るという一面もあります。現状の現金のように匿名性はなくなります。

当分は米ドルの世界制覇状態に変わりはないと思いますが、これだけ時代の変化速度が加速していると5年後にどうなっているのか実に興味深いです。


CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃

CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃

  • 作者: 野口悠紀雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/11/17
  • メディア: Kindle版



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