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ブロックチェーン革命(野口悠紀雄著) [書評]

皆さん、ブロックチェーンと聞いて何を思い浮かべますか?

私は、「フィンテックのビットコインで使われている技術」程度の認識でしたが、本書を読んでブロックチェーンの見方が劇的に変わりました。

先日も国内金融機関47行が夏にもブロックチェーンを使った送金業務を随時、開始すると発表されましたが、ブロックチェーンは送金、決済等に使われるだけの技術ではありません。

現在、証券の決済はT+3と言われ、例えば株主優待を獲得する場合は月末に取引するのではなく、その数日前に株式を購入しないと権利が取れません。

しかし、今後、ブロックチェーンが証券決済に取り入れられると決済に関わる日本証券クリアリング機構や証券保管振替機構(ほふり)などの仕組みが変わり、最終的にはT+0という即時、受け渡しが実現する可能性すらあります。

日々のニュースによるとブロックチェーンの研究をしている金融機関はメガバンクや大手証券、ネット系ではSBIグループなどが積極的に関わっているようです。

特にSBIグループはブロックチェーンを始めフィンテック関連のベンチャー企業と積極的に関わりを持つなどしており、この意気込みは数年後には他のネット系金融機関に対する大きなアドバンテージとなると感じます。

今後、ブロックチェーン技術が一層、進化し実用化された時に、既存の銀行、証券、保険会社などがどのような影響を受けるのか、存在自体が脅かされるのかなど興味深いものがあります。

私は当初、ブロックチェーンはフィンテックの技術の一部だと勘違いしていましたが、実際にはインターネット黎明期に匹敵するほど応用範囲の広い技術です。

ここ最近、ビットコインの価格が上昇しているとの情報を御存知の方もいると思いますが、中にはビットコインは怪しいものだという誤解を未だに持っている方もおられるでしょう。

そういう方に、また金融機関、それに関わるシステム関連の企業に務める方に是非とも読んで頂きたい本です。

しかし、野口悠紀雄氏は76歳になるのに最先端の技術動向を把握している点が非常に尊敬できます。野口氏がビットコインやブロックチェーンの記事を週刊誌等に書くと友人から「いかがわしいものに手を広げないのが良い」といったニュアンスの忠告を受けたようです。

結局は野口氏の言う通り、ビットコインやブロックチェーンは、いかがわしいどころか世界を変えようとしています。


ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現

ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現

  • 作者: 野口 悠紀雄
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2017/01/19
  • メディア: 単行本



ブロックチェーン革命--分散自律型社会の出現

ブロックチェーン革命--分散自律型社会の出現

  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2017/01/18
  • メディア: Kindle版



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