SSブログ

投信の乗換えが活発化 [FP]

投資の本などに必ず載っている投資法が「投資信託を長期に保有する」というものです。しかし、実態は長期保有とは逆の流れにあるようです。

2008年度は4.5年だった投信の平均保有期間が、2009年は3.1年と大幅に短くなったようです。要因として新興国を投資対象にした投信で短期売買する傾向があることや、給与の不足分を補うために解約し現金化したケースなどがあげられます。

しかし、銀行や証券の販売員の積極的な勧めによる乗換えも大きな要因ではないでしょうか。一時期は圧倒的な人気を誇ったグロソブの残高が急激に減っているようです。その流れた資金はグロソブよりも高い配当を打ち出す新興国を投資対象にした投信や為替リスクのある通貨選択型の投信に移ったようです。販売側はリスクを説明して顧客の同意を取っているはずですが、顧客が新型投信の本当のリスクを把握しているとは思えません。分配金の高さだけに目を奪われてしまい、リスクの高い投信に乗り換えた方も多いだろうと思います。

新興国の投信を短期売買するケースが多いとのことですが、投信の購入手数料を考慮すると個別株で投資したのがコストが明らかに安く済むはずです。確かにインドやブラジルの個別株を取引できないので投信に頼らざるを得ない現状があるのかもしれませんが、いずれインドやブラジルの個別株が購入可能になれば投信の短期売買は割に合わないと気づかれるはずです。もっとも複数の個別株を買う資金がないので投信を利用するというケースなら、新興国投信の短期売買は仕方がないかもしれません。

投信の短期売買や買換えの結果、一番得をするのは誰でしょう。間違いなく、販売会社です。新しい投信を購入してくれるたびに最大3%の手数料が頂けるのですから笑いが止まらないでしょう。投信の回転売買を組織的に行ったとして先日、コスモ証券が処分されましたが、今回、新聞記事を見ると個人投資家自らが頻繁に乗換えをしているようですから皮肉なものです。

もっとも、販売手数料ではなく、長期的な保有を目的として残高を増やし信託報酬で稼ごうとする姿勢の投信会社も見られるようになりました。住信アセットマネジメント社のSTAMシリーズや三菱UFJ投信のeMAXISシリーズのように、新興国に低い信託報酬で投資できる投資信託が生まれてきています。またネット証券ならノーロードで購入できる投信も多くあります。こうした投信を定期積立で購入するのが投資信託を使った正統派な投資法だと言えます。(日興アセットマネジメント社も新興国を投資対象にするETFを発表しました。)

国内外の株式や債券を投資対象にするノーロード、低信託報酬の投信をネット証券で定期積立として購入する投資家が今後、増えていけば投資信託の保有期間も永くなるだろうと思います。ただ、それは販売会社の収入減につながるため業界としては反発が起きるかもしれません。しかし、一端、流れが起きれば止められないと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0