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未来の年表 業界大変化【河合雅司著】 [書評]

今後、労働人口減少により現在、当然のように受けられるサービスが危機を迎える様子がリアルに描かれています。

後半はそうした社会変化の中、企業としてどう生き残るかのヒントが書かれています。

例えば、整備士やトラックドライバーの不足による物流混乱、団塊世代亡き後の医者余り時代などあらゆる分野で少子化による労働人口減少が今後、響いて来ます。

少子高齢化だけでなくトラックドライバーや勤務医は来年から労働環境の改善が義務化されるようで、そうした流れも現在同様のサービスを受けられなくなる要因にもなります。

ここ数日のヤマト運輸や佐川急便の値上げはドライバーなどの労働環境改善のためや、将来に向けて引き続き現在と同じレベルのサービスを提供するために必要なことだと言えます。

現在の勤務医についても労働環境改善のためのシフトが義務化されるとのことで、来年以降は今と同じ医療サービスを受けられなくなる可能性もあります。

あらゆる業界で残業を前提としたサービスが提供されていましたが、それが正常化されるに伴い、現状と同様のサービスを提供するのが難しくなります。

それに加えて本書にあるように各業界で若手労働者の獲得合戦が一層、激しくなります。

そうなると考えられるのは「賃上げ」が進むと言うことです。人材獲得のために賃上げできない事業者は今後、一層、厳しい状況に追い込まれることになりそうです。

また女性や高齢者の一層の労働市場参加も求められます。最近は40、50代の転職も増えているなど以前とは労働需給に変化が出てきています。

労働者人口が減少する中、最新の情報を学び続ける人にとっては会社員であっても定年を気にすることなく仕事ができる環境にシフトして行くのだと思います。

現在、少子化対策を取っても成果が出るのは少なくても20年後です。しかも20年後は一層、各業界での人材獲得競争が激化します。

大学進学率が年々、高まる一方でホワイトカラーの仕事はITによってどんどん減っていきます。一方でブルーカラーとして人気のない業界での若手の需要は今後、大きくなると思います。

まさに「職人」の時代の到来です。過度な奨学金を借りて大学を出るより、「職人」としてキャリアを積んだほうが遥かに稼げる時代が来ています。

書評からはずれた記事になってしまいましたが、今後、あらゆる業界でどういった変化が起きるのかがリアルにわかるので「未来の年表 業界大変化」はお勧めの1冊です。


未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること (講談社現代新書)

未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること (講談社現代新書)

  • 作者: 河合雅司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/12/14
  • メディア: Kindle版



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