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ゼロ・コミッション革命【チャールズ・シュワブ著】 [書評]

ダイヤモンド・オンラインの山崎元氏の連載記事で本書が翻訳・出版されていることを知り、早速Kindleで購入して読みました。

私は約20年ほど前に日本で黎明期だったインターネット証券会社に新卒入社して数年でしたが会社が成長していく過程を見ていましたが、本書で書かれているチャールズ・シュワブ社の内情と似たような場面は私も体験しており懐かしく感じました。

急成長する業界や企業にはどこにでも起こりる事象なのでしょう。

また本書の丁度、半分ぐらいのところでブラックマンデーの頃の回想があります。ショート・プットのポジションを大量に持っていた香港の顧客が大損して会社にダメージが出たとありますが、これって東日本大震災の時に日本のネット証券でも似たようなことが起きたなとふと思いました。

SBI証券や楽天証券は米国のリテール証券事情もよく研究していてチャールズ・シュワブのたどった道を日本流にうまくアレンジしていると思います。(銀行との連携など)

ただ米国のようにFP相談に金を払う文化の薄い日本においてIFAビジネスが米国同様に発展するかは私は懐疑的に見ています。SBI証券と楽天証券などはIFA分野の強化を狙っているようですが今後の展開に注目しています。

また米国で火蓋を切った売買手数料無料競争やロビンフット社の戦略などは金利状況や風習の違う日本でそのまま真似するのも難しいと思います。

インターネット業界の企業が証券業界に新規参入してきて1株単位で売買可能などといったサービスが日本でも見られるようになりましたが、収益化するまで何年かかるのか見ものです。口座数は増える一方でしばらく赤字を垂れ流すだろうと思います。

証券業界(主にネット証券)も投資信託の運用会社も顧客のコストを削減する競争が激化しすぎており業界が保つのか少し心配です。(投資家目線だと大歓迎なのですが。)

主に対面で高齢者相手に商売をしている証券会社、銀行、そして保険会社が現在の主要顧客である高齢者が亡くなったあとにどうやって商売をするのか興味があります。

ゼロ・コミッション革命を読み終え、金融リテール業界は日米のみならず世界中で転機を迎えていると感じました。


ゼロ・コミッション革命―チャールズ・シュワブの「顧客目線」投資サービス戦略

ゼロ・コミッション革命―チャールズ・シュワブの「顧客目線」投資サービス戦略

  • 作者: チャールズ シュワブ
  • 出版社/メーカー: 金融財政事情研究会
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: Kindle版



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