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コロナショック・サバイバル【冨山和彦著】 [書評]

WBSのコメンテーターでおなじみの経営共創基盤(IGPI)CEOの冨山和彦氏がコロナ問題後にスピーディーに書き上げた本書はまさにタイムリーな内容です。

地方(Local)からグローバル(Global)、最後に金融(Financial)へとL→G→Fの順番に今後、危機が迫ると主張されています。

対策は一言で言えば「資金繰り」。色々な補助金制度がでているのだから兎に角、利用して流動資金を確保すること。キャッシュフローが止まればそこで会社は終わりなのでとにかくキャッシュを維持すること。まさにCash Is King.を意識して会社を経営することを強調されています。

場合によっては不採算部門を切り捨てるような冷静かつ合理的な判断も必要だと思いますが、オーナー企業なら兎も角、サラリーマン社長がそういう決断を取れるのかは難しいと思います。

新型コロナウイルス前後で世の中の価値観は大きく変わることでしょう。駅チカの物件やタワーマンションは大きな値崩れは今後もしないでしょうが、テレワークを前提に地方に移る方も増えるはずです。

また、先日、病院に行ったのですが、いつものような混雑さはなくかなり空いていました。医療法人は給与引き下げやボーナスの減額、あるいはカットを迫られているようです。

コロナ問題の最前線で戦っている病院関係者の待遇が落ちているのは残念です。

今まで医療従事者と言えば安定した収入が得られる職業でした。しかし、新型コロナ騒動が長引けばそうした医療関係者は安定しているというイメージも壊れてしまうのではないでしょうか。

高齢者のサロンとなり余計な検査や処方で成り立っていた日本の医療が外国並みになるのかもしれません。

団塊世代が病院や介護の世話になるピークがこれから来るのに、一方で病院や介護施設はコロナの影響で減っていくという問題がこれから起きるのでしょうか。

ブルーインパルスや花火の打ち上げなどで医療関係者に感謝を伝えることは良いことだと思いますが、医療法人の経営が行き詰まらないように厚労省も何らかの新たな対策を練る必要があると感じます。

ちょうど週刊ダイヤモンドで医療特集があるようなので読んでみようと思います。

話が書評から飛んでしまいました。すみません。話は戻り、冨山和彦氏は本書の内容から踏み込んだ続編「コーポレート・トランスフォーメーション」も出版したようです。そちらも期待したいと思います。


コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book)

コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book)

  • 作者: 冨山 和彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/04/30
  • メディア: Kindle版



コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える (文春e-book)

コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える (文春e-book)

  • 作者: 冨山 和彦
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/06/12
  • メディア: Kindle版



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しらふで生きる【町田康著】 [書評]

町田康氏がいかにして酒を止めることに成功したのか、その理由と禁酒による効果が「最後」に書かれています。

30年間、毎日飲んでいた著者(町田氏)が4年前から一切、飲まないことに成功した思考法が書かれています。

「最後」にと上記に書いたのは導入から締めに至る内容が色々な方面に飛んでいき、最後にそれらがまとまって結論となります。

正直、言って禁酒を目的にした人が読む本ではないかもしれません。禁酒が目的ならアルコール中毒の専門書を読んだのが良いです。

ただ、芥川賞など様々な文学賞を受賞している町田氏の軽快なテンポの良い文章に思わず、「で、結論は何なんだ?」と思いつつも一気に最後まで読み進めてしまいます。

ただこの本は人を選ぶと言うか、数ページ読んで文章が合わないという方もおられると思います。

さて、私は昨年のこのブログで「付き合いの席以外の酒はしばらく止める」と書いたのですが、結局、時々、家で飲んでしまいました。

そこである手段を今月に入り取りました。酒を全部、捨てたのです。

「全部、飲み終わってから禁酒すればいいや」とも思ったですが、取った行動は残量のあったウイスキーと焼酎をキッチンに流すことでした。

その結果、在庫がなければ飲みません。スーパーに行ってもアルコールを買いたい衝動が当初はありましたが、今ではなくなりました。

夜にアルコールを飲むと食欲が湧いてしまい、何か(特に炭水化物)を食べてしまう傾向にありました。その結果、体重はどんどん増加していきました。

アルコールと夜食として食べていたものの在庫をなくしたら体重が減り始めました。

「酒を飲まない人生の何が面白いの?」と思われるかもしれませんが、酒を飲もうが飲まないが人間は寂しい生き物であり死ぬときも一人です。

学生時代の体重に戻るまで、しばらく禁酒を続けようかと思っています。

あと、最近、「マインドフルネス関連」の本を読んでいます。欧米で確立された「禅」から宗教色を排除した科学的なリラックス方法です。

酒を止めて呼吸法に気をつけるなど自分も年寄りになってきたなと感じますが、体調は良いです。


しらふで生きる 大酒飲みの決断

しらふで生きる 大酒飲みの決断

  • 作者: 町田 康
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 単行本



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情報銀行のすべて【NTTデータ執筆編集】 [書評]

NTTデータの研究員達が「情報銀行」について解説した本です。

情報銀行の定義、現在進んでいるプロジェクトの内容、将来予測など勉強になりました。

私が「情報銀行」なる単語を初めて聞いたのは三菱UFJ信託銀行が情報銀行業務に参入するというニュースを聞いた時です。

日本でも国民の気が付かない間に着々と情報銀行の構築に向けて官民それぞれで色々と行動を既にしています。

官ではマイナンバーカードの普及に積極的になってきましたし、民間でもポイント還元を謳い文句にした決済方式を広めると同時に個人データの収集を行っています。

本書でシュミレーションされている情報銀行を活用した未来予測を読むとまるでSF映画の世界にも見えますが、恐らく私の生きている間にそういう社会は実現されることでしょう。

一つ懸念は、個人からいかに情報を得るということです。

今でもマイナンバーカードに反対の人はいますし、私など店舗で「Tカードお持ちですか?」と聞けれると持っていても「ないです」と答えています。面倒だからです。

買い物レシートを有料で買い取るというベンチャー企業が出てきました。これなら消費者、企業ともにメリットがありそうです。買取価格にもよると思いますが。

今やいたるとことでWEBサイト上でメールアドレルや個人情報を入力する機会が増えています。仮にそうした情報が漏れていて名寄せすれば、ほぼ個人の特定ができてしまうでしょう。

情報銀行が進展するためにもセキュリティは第一です。

今後、マイナンバーにしても民間の溜めた個人情報についても、悪意のある関係者が1人でもいれば情報は漏れてしまいます。

従って個人情報は漏れるということを前提にして、私達は情報銀行に参加・利用するかよく考えたのか良いと思います。


情報銀行のすべて

情報銀行のすべて

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2020/02/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー【ブレイディみかこ著】 [書評]

評判が良いので読んでみました。今後の日本の姿がこの本には書いてある気がしました。

英国在住の著者がお子さんの学校生活を通して英国の現状を描いている作品なのですが、英国の現状を知るのに役立つ内容が多かったです。

英国と言うと富裕層の人数が多いという調査結果が出ていましたが、それは一面で実際には格差が拡大しているようです。

前にこのブログでも紹介した英国人の企業潜入取材の本でも勉強になりましたが、英国の格差は日本とは比較にならないほど開いているようです。

もともと英国という国は階級社会であり、英国に比べるとまだ日本の方がチャンスに恵まれていると感じます。

先日の英国総選挙ではEU離脱を主張する保守党が勝ちましたが、EU離脱で「変化」を求める国民が相当いるという見方もできると思います。

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」はテンポよく読み進められますが、読むにつれて日本も近い将来、現在の英国に近付いていくのだろうなと何度も思いました。

あと英国の教育システムは日本に比べて非常に進んでいるなと感心しました。日本では入試で記述式を導入するかどうかで揉めていますが、英国の教育は遥か先を進んでいます。

話はずれますが、日本ではスマホの普及で長い文章が苦手な若者が増えており、読書量も減っているようです。スマホやタブレットに慣れておりPCの使い方がわからない子も出てきているとのこと。

これは恐らく日本でも教育面で2極化が進んでいるということだと言えます。一部の学生は読書量も多いしPCにもプログラミングを書けるほど詳しいです。

機会の平等化を実現するため安倍政権では教育に予算をかけていますが、授業料免除や一人一台のPC設置などより教育面でやるべきことがあるのではないかと何だかスッキリしない気分です。


ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/21
  • メディア: Kindle版



アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した~潜入・最低賃金労働の現場~

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した~潜入・最低賃金労働の現場~

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/03/30
  • メディア: Kindle版



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データ資本主義【野口悠紀雄著】 [書評]

ここ数年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。粘り強く様々な素材や方法を試した結果、発明が生まれたのが受賞理由である。

一方、現在、進んでいるデータ資本主義は今までのこうした日本人の粘り強さを超える潜在力を秘めている。

データをとにかく集めて分析・解析することで予想もしていなかった結果が出てくる時代になった。実はなぜそうした新発見が出てきたかというロジックもわからないブラックボックスであるケースもあるらしい。

これからの勝ち組企業はいかに情報、データを集めるか、そしてそれを扱えるデータアナリストがいるかにかかっている。

日本を含めて先進国はGAFAを始めとする企業によるプライバシー侵害に非常に敏感になっている。

一方で共産国家であるはずの中国では国も国民もプライバシーに寛容で、そのうち米国を凌いでデータ資本主義で世界をリードする可能性があるのは皮肉なものだ。共産国家なのに。

GAFAに対するプライバシー規制が高まるほど、中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の技術はどんどん進んでいくことだろう。

今や日本でも至ることろに監視カメラが設置されていて顔画像データが官民で活用されている。

話は変わるが日本ではマイナンバーを活用した資産課税が将来的に必要だと個人的には思っているが、マイナンバーのよる管理制度に反対する国民が多数存在する。

もっともマイナンバーの情報漏れや悪用が起こり得る日本の現状の仕組みを考えるとマイナンバーによる管理社会に反対する人たちの意見もわからないことはない。

ただ、今後、世界は個人がスコア化されていくような息苦しい社会になっていくのは間違いないだろう。

小説1984のような管理社会に寛容な中国が一層、発展し、一方、プライバシーに厳しい先進国が将来、没落していかないようにプライバシーをめぐる議論が活発になって欲しいと感じた。


データ資本主義 21世紀ゴールドラッシュの勝者は誰か

データ資本主義 21世紀ゴールドラッシュの勝者は誰か

  • 作者: 野口 悠紀雄
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: 単行本



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アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した【ジェームズ・ブラッドワース著】 [書評]

以前、日本でもユニクロの店舗に採用されて潜入取材を行い週刊誌にその実情を書いたジャーナリストがいました。

本書は雇用の規制緩和や移民の流入も進んでいる英国での潜入取材の記録です。

筆者はアマゾンの倉庫や訪問介護、保険会社のコールセンター、ウーバーの運転手を実際に経験して、それぞれの職場で出会った仲間達の実情を書き、現在の英国社会の表裏を見せてくれます。

雇用規制の緩和や外国人労働者の増加など、まるで将来の日本を見ているような感覚を読んでいて感じました。

ただ上記の仕事のうち訪問介護以外は将来的には一層の合理化が進んで労働者が減少する業界でもあります。

英国は日本では想像できないほどの階級社会で、欧州に比べるとまだ日本はやる気のある人にはチャンスが転がっていると思います。

「いや、そんなことはない」と否定する方もおられるでしょうが、英国の階級社会に比べれば日本はまだ恵まれています。

英国は金融サービスが伸びて経済が復活したと言われていますが、現状は階級社会が一層、強化され二極化がどんどん進んでいるなと本書を読んで感じました。

日本ではアマゾンの倉庫はロボットへの切り替えが進み、本書に出てくる英国のアマゾン倉庫のように1日に15kmほど歩くことは今はないのかもしれません。

今後、テクノロジーの進歩で人手がいらなくなってくると社会はどうなるのか不安があります。一部の成功者とその他の二極化が進み、荒んだ社会になっていくのはなんとなくわかります。

日本の将来を予測する上でも本書での英国の実例は参考になると思います。


アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した~潜入・最低賃金労働の現場~

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した~潜入・最低賃金労働の現場~

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/03/30
  • メディア: Kindle版



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捨てられる銀行3 未来の金融【橋本卓典著】 [書評]

金融庁への取材力で好評な「捨てられる銀行」シリーズの第3弾です。

森前金融庁官がスルガ銀行を褒めていたことから森前長官への評価も二分されますが、フィデューシャリー・デューティーの概念を金融機関に植え付けた功績は大きいと思います。

後任の現長官である遠藤氏にも期待が高まります。

本書の中で金融機関の上層部が方針を何度もひっくり返して現場が混乱する様子が描かれています。

投信の回転販売や外貨建て保険のノルマがきつくなる一方、フィデューシャリー・デューティーを遵守すべき指導も現場になされ、現場が混乱しているようです。

先日、メガバンクの新卒採用数が減少すると発表されました。一般職の廃止をする銀行も出てきています。

野村證券は支店の2割を統廃合してネット取引を改善するとの報道も出ました。

就職活動をしている学生の中には、銀行や証券の人気が落ちているのだから、あえて逆張りの発想で金融業界を目指そうと言う方もいると思います。

ただ、銀行も大手証券も採用数を減らすとは言っても私の感覚だとまだ新卒採用数が多すぎると思います。

結局、本書に出てくるようなノルマと倫理に板挟みに会い、支店で高齢者相手に嫌々、金融商品を売りつけるビジネスモデルは急に変えられないということでしょうか。

確かに回転売買から預かり資産の増加を評価基準に変更した金融機関も出てきていますが、その結果、軒並みリテール分野では赤字となっています。

ネット銀行、ネット証券の勢いが増す中、既存の銀行(特に地銀)、対面販売の証券会社は徐々にシェアを奪われていくでしょう。

睨みを利かせた金融庁の前で強引な金融商品の販売ができない現場、かといってマイナス金利で運用も上手くいかないなど金融機関の収益源が揺らいでいます。

消費増税をきっかけに日本でもキャッシュレス社会への移行が国家政策として進められるようですが、決済機能を奪われた銀行の将来が本当に心配です。

中国におけるアリペイやウィーチャットペイのような決済手段やジーマ信用のような仕組みが日本で急速に根付くか疑問ですが、そのような方向に進むのは世界的な動きだと言え、日本だけが拒否できるようなものではないと感じます。

捨てられる銀行3 未来の金融 「計測できない世界」を読む (講談社現代新書)

捨てられる銀行3 未来の金融 「計測できない世界」を読む (講談社現代新書)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/13
  • メディア: Kindle版



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平成はなぜ失敗したのか【野口悠紀雄著】 [書評]

来年80歳を迎える野口悠紀雄氏の最新刊です。

内容ですが、正直、今までの野口氏の著書を読んできた方にとっては、物足りないと感じるかもしれません。

全体的に今までの野口氏の分析を難しい経済用語を使わずにわかりやすく浅くまとめた本だと思います。

従って普段は野口氏の本は読まないが、平成がどういう時代だったのかを知りたいという方には適していると思います。

いつもの野口氏の著書と比較すると本書は野口氏の個人的な内容も含まれています。思い出話を語るのも来年80歳を迎えるのだから当然かもしれません。

野口氏は「円安が日本の改革を先延ばしにしてきた。今後は米国のように金融やIT産業で日本も食えるようにしよう。また中国の発展はすさまじい。」と言った内容の主張をされます。

野口氏はスタンフォード大学で教えていた経験から若い日本人の内向き志向を危惧されています。

確かに今や米国の有名大学のアジア人は中国や韓国の学生が主流で日本の学生は減少傾向にあるようです。

今後、日本では社会保障費の増加による一層の財政悪化に加え、安倍総理が将来、退陣した後の日本銀行の政策の後始末など難題が構えています。

本当に金利が将来、上がるようなことになったら変動金利で住宅ローン組んでいる方や、それ以前に国家予算の作成がどうなってしまうのか恐怖を感じます。

野口氏は本書で「まだまだ長生きするぞ」と宣言していますが、是非とも今後も鋭い分析で定期的に本の発行や雑誌の寄稿を続けて欲しいです。


平成はなぜ失敗したのか 「失われた30年」の分析 (幻冬舎単行本)

平成はなぜ失敗したのか 「失われた30年」の分析 (幻冬舎単行本)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: Kindle版



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AI VS. 教科書が読めない子どもたち【新井紀子著】 [書評]

出版されてもう1年経つ本書ですが、先日、ようやく手に取って読みました。

著者の新井氏は数学者であり、AIの仕組みに精通しています。著者の結論はSFに見られるようなAIやロボットが人間を超えるシンギュラリティは起こりようがないというものです。

確かにコンピュターは人間がプログラミングした以上のことはできませんし、流行りのディープラーニングにしても人間が入力したロジック上で動くものだと思います。

一方で先日、NHKのクローズアップ現在+で放送された故スティーヴン・ホーキング博士や今日の読売新聞の記事での江崎玲於奈氏などは、いずれシンギュラリティが起きて人類に悪影響が起きるかもしれないとAI脅威論を展開しています。

本書ではAIの仕組みをわかりやすく説明して脅威論は考え過ぎだと納得させてくれます。

もっとも予想外の技術革新が今後、起きることも可能性としてはありますが、映画「2001年宇宙の旅」に出てくるような感情を持ったコンピュターの登場は私の生きているうちにはないだろうと感じました。

さて著者はMARCHレベルの大学入試を解けるAIの開発に成功しているのですが、最近の若者だけでなく大人までもが文章を正確に読めていないと指摘しています。

ロジック通りの作業をする仕事ではいずれRPAなどの代替されてしまうでしょう。

問題はAIで仕事を失った人が別の仕事につけるかということです。AIを操作する側に周るとしてもかなりの再教育が必要になるだろうし、すべての失業者をIT分野で吸収はできないはずです。

将来は労働人口の推移とともに低失業率、高求人倍率は続くと思われます。別に安倍さんが総理を降りたとしてもこの傾向は変わりません。

しかし、高求人倍率の実態は仕事内容と求人者のミスマッチが起きており、一方で高度な能力を必要としない仕事は外国人労働者に奪われるという現象が今後も続くものと考えます。

ちなみに私が著者の新井氏と本書を知った理由は、先に新井氏と投資銀行家のぐっちー氏の対談本を読んだからです。こちらの本もお勧めです。


AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/02/02
  • メディア: Kindle版



日本を殺すのは、誰よ!

日本を殺すのは、誰よ!

  • 作者: 新井 紀子
  • 出版社/メーカー: 東邦出版
  • 発売日: 2018/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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amazon 世界最先端の戦略がわかる【成毛眞著】 [書評]

マイクロソフト日本法人元社長で知られている成毛眞氏がGAFAの一角であるAmazonについてまとめた良書です。

Amazonというと今では通販以外に色々なサービスを展開、予定してニュースになっていますが、本書は、それらのサービスや今後の展開を上手くまとめていると思います。

実は稼ぎ頭はAWS(Amazon Web Services)というクラウド提供サービスであり、AWSが今後、「通販」のAmazonという概念を壊すだろうという点には納得しました。

筆者はAmazonをローマ帝国に例えており、各部署が連携せず独自に最適な仕事を追い続けており、創業者であるジェフ・ベゾス氏でさえ全体像を把握できていないのではないかと推測しています。

Amazonと言えば、度々、トランプ米国大統領から口攻撃を受けます。しかし、多くの米国人がプライム会員になっているのも事実です。

日本でもGAFAなどの巨大IT企業と独禁法についての議論がようやく開始されると最近、報道されていますが、仮にAmazonのサービスが分割されても成毛氏の指摘する通りにそれぞれの分野で独占企業が新たに生まれるだけで終わると思います。

日本ではまだプライム会員の増加余地があると指摘されています。実際、日本のプライム会員の年会費は他国と比べ安価です。

今年の春にAmazonが日本で約1000人の技術者を中心とする雇用を行い、将来的にはオフィスの移転も考えていると報道されていました。

1サービス受給者としては今後のプライム会員の値上げが日本でも起きる可能性が心配で、なるべく他国に比べて価格は抑えてほしいと思います。


amazon 世界最先端の戦略がわかる

amazon 世界最先端の戦略がわかる

  • 作者: 成毛 眞
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/08/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



amazon 世界最先端、最高の戦略

amazon 世界最先端、最高の戦略

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/08/08
  • メディア: Kindle版



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