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不動産大異変【太田垣章子著】 [書評]

2500件以上の不動産トラブルに立ち会った女性司法書士によるコロナ禍における不動産現場が書かれています。

この著者の作品は仮名ながらも実例が豊富で、書籍の厚さもちょうど良くテンポ良く読み進めることができます。

最近は会社員や公務員などの方で賃貸経営に手を出す人が増えていると聞きますが、そうした方に是非、読んでいただきたい本です。

今の所、ポプラ社からシリーズ3作が出版されており先程、3冊読み終わりました。家主や大家という響きに憧れる人もいるかもしれませんが、現実はそう甘くないということを突きつける作品です。

先日、AmazonKindleで「正直不動産」という漫画を電子書籍で全巻購入したので正月はそれを読んで過ごそうと思っています。

宅建試験に合格してもう10年以上が経ちます。私は不動産業に関係するFPではないので宅建士としての登録はしておらず単に試験に過去、受かっただけです。ただ、正直不動産を読んでいると試験では知ることのなかった不動産業界の姿が見えてためになります。

金融機関やそれにまつわるシステム関係の方は仕事納めは30日になるでしょうが、今日、仕事納め、御用納めされた方はお疲れ様でした。

ただし1週間後には2022年1月4日がもう来ます。あっという間に過ぎる年末年始をゆっくり過ごしたいのですが、私の場合、今回もテレビを観ることは少なく、読書やradikoを聞きながらのネットサーフィンをして時間を過ごすことになると思います。

関東は晴れが続いていますが、積雪の多かった地域の方は事故などに気をつけて今年を過ごしてください。


不動産大異変: 「在宅時代」の住まいと生き方 (ポプラ新書 お 10-3)

不動産大異変: 「在宅時代」の住まいと生き方 (ポプラ新書 お 10-3)

  • 作者: 太田垣 章子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2021/04/14
  • メディア: 新書



(183)老後に住める家がない! (ポプラ新書)

(183)老後に住める家がない! (ポプラ新書)

  • 作者: 太田垣 章子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2020/01/10
  • メディア: 新書



家賃滞納という貧困 (ポプラ新書)

家賃滞納という貧困 (ポプラ新書)

  • 作者: 太田垣 章子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: 新書



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LIFE SHIFT2【アンドリュー・スコット/リンダ・グラットン著】 [書評]

日本でも好評だった前作「LIFE SHIFT」の続編、実践編です。

日本を含む世界各国の架空の登場人物を通して、前作「LIFE SHIFT」の内容を具体的にどう実現すれば良いかが書かれています。

最後に企業、教育機関、政府の課題が書かれています。

要は、「新卒採用で企業に務めて定年で退職するという従来型のモデルでは今後の人生100年時代に対応できない」ので対策を取りましょうといった内容です。

具体的には各国で寿命が伸び、今、各国で定められている定年年齢が意味を持たなくなるので将来を予想して常に自己研鑽に励む必要性を説いています。

まずは自分自身が将来どう生きたいかをイメージして絶えず自己研鑽、自己啓発を続けていくことが必要だということ、またそれを支援する企業、教育機関、政府の課題がまとめられています。

本書の研究データではテクノロジーの発達や高齢者が労働市場に留まることで雇用が減るのではないかという迷信は逆で実際には過去のケースでは全体の雇用は増加しているようです。

既に年金生活に入っている方、もしくはあと数年で定年を迎えられる方はともかく、現役世代は常に自己研鑽を続けていかないと食えなくなるという厳しい社会の到来です。

「FIRE」という言葉が今年は流行しましたが、RE(リタイア・アーリー)に関しては個人的には否定的です。

FI(ファイナンシャル・インデペンデンス)を仮に達成できてもボランティアやスモールビジネスを行うことがボケ防止にもなるし長生きの秘訣だと感じます。

Windows95が発売されてまだ30年経っていません。当時はPHSやポケベルが中心で携帯電話はあったもののスマホはありませんでした。

時代の変化が激しい近年だからこそ、あふれる情報の中から必要なものを選んで時代に追いついていく覚悟が求められます。


LIFE SHIFT2―100年時代の行動戦略

LIFE SHIFT2―100年時代の行動戦略

  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2021/10/29
  • メディア: Kindle版



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決済インフラ入門【2025年版】(宿輪純一著) [書評]

宿輪純一氏といえば20年近く前から金融決済インフラに関する書籍を出していて、多くの金融関係者が彼に助けらたのではないでしょうか。まさに決済分野の第一人者です。

本書は今や複雑に別れた決済を上手くまとめて説明してあり、金融関係の新入社員のみならず、特にフィンテック分野に手を出しているIT企業の従業員にお勧めできる本です。

前払式、即時払い、後払いと決済のタイミングを見ても実に様々なサービスが存在します。本書ではそうした決済手段を網羅しています。当然2025年版なので最近の暗号資産絡みの記述もあります。

本書の中には金融の意外と知られていない豆知識も散りばめられています。例えばドル表示の$はなぜSなのかなど私はこの書籍で知りました。

金融関係者はもとよりシステム開発などのフィンテック関連企業の従業員は必読の書だと思います。

2000年に私がネット証券に入社した時点ではこうした金融決済システム本はほとんどありませんでした。その後、決済の書籍を定期的にバージョンアップして発行し続ける宿輪氏の功績は大きいと思います。


決済インフラ入門【2025年版】―スマホ決済、デジタル通貨から銀行の新リテール戦略、次なる改革まで

決済インフラ入門【2025年版】―スマホ決済、デジタル通貨から銀行の新リテール戦略、次なる改革まで

  • 作者: 宿輪 純一
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2021/07/16
  • メディア: Kindle版



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Phantom【羽田圭介著】 [書評]

私はあまり小説は読まず、読んでも経済小説なのですが、例外で羽田圭介氏の著書はなぜかよく読んでいます。

本書の内容は「米国株の積立投資でFIREを目指す独身OL、一方で有り金を使いオンラインサロンにハマる主人公の彼氏」の対照的な生き様が描かれています。

羽田氏と言えば芥川賞受賞者である一方でテレ東系列でバスの旅番組にレギュラー出演していたなど幅広く活躍されています。

裕福な層から一般的な若者の生態まで幅広く把握している点が羽田作品が面白い要因だと思います。

本書は後半に一気に作風が変わり怒涛の展開を見せます。私はオンラインサロンというものに入会したことがないので実際に「オンラインサロンがどういうものか」について知識がなかったのですが、なんとなく雰囲気は本書で掴めました。

本書ではオンラインサロンを(多分)誇張して描いているのだと思いますが、今後、本書に出てくるようなサロンが生まれる可能性もないとは言えない怖さを感じました。

羽田氏は週プレで投資に関する定期連載をしていただけあって投資に関する記述は頷く点もありました。

FIREを目指して質素な生活をしていても明日、死んでしまうリスクもあります。一方で有り金を使って「今」を楽しんでも思い出だけ残って惨めな老後を送るリスクもあります。

この辺の対立するテーマを様々な出来事でところどころ読者に問うていますが、答えは個人それぞれによって違うでしょう。

個人的には主人公のように質素な生活を心がけ投資に資金を回す一方で、使うときには惜しげもなく資金を投入する価値観に共感します。

このブログでも前に書きましたが、お金は使ってこそ意味のあるものです。若いうちからFIREを目指して質素な生活をしている方もいるようですが、自己投資やPCなどのIT機器、SaaS等のソフトウェア(商売道具)にはある程度の資金は投入すべきだと感じます。

数時間で読める厚さですのでFIREやオンラインサロンに興味のある方にはオススメの本です。


Phantom (文春e-book)

Phantom (文春e-book)

  • 作者: 羽田 圭介
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2021/07/14
  • メディア: Kindle版



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リープフロッグ【野口悠紀雄著】 [書評]

リープフロッグとは後発者が最新のテクノロジーを駆使して先駆者を飛び越して前に出ることです。カエルがジャンプするイメージです。

現在はアメリカが世界の覇権国ですが、世界の歴史を振り返ると最新の技術をうまく活用した国が覇権を握り、そしてその国が次々と変わって行きました。

一度、覇権を握るとその社会システムに逆に足を引っ張られてしまいます。既得権益層が新たな新技術の導入に反対するからです。

一方、制度やシステム的にしがらみのない国は最新の技術を活用して一気にリープフロッグして先進国を追い抜くこともあり得ます。

ご存知の方も多いと思いますが、ケニアなどのアフリカ諸国の一部では日本よりスマホを介した電子決済が進んでいます。

アフリカでは電話の固定回線網や銀行の決済システムが発達していなかったため逆に現在の最新技術を無理なく導入できたためです。

また、現在の日本は決して明治維新後のリープフロッグが作ったというよりキャッチアップという言葉の方が近いと著者は書いています。

米国に追いつけ追い越せの精神で来たものの今となっては既存のシステム、法律、制度が邪魔をして他国に比べて新技術の導入が遅れてしまっている印象を受けます。

中国も通信や決済のインフラが整っていなかったことを逆手に取ってリープフロッグして米国を追い抜こうとしています。

日本が米中に遅れを取らずかつ、今後も先進国として国を維持するためには現在の日本にリープフロッグが必要です。

戦後のキャッチアップではなくリープフロッグを実現するためには痛みを伴う改革が避けられません。それができなければ日本は沈みゆくのみです。

また著者は個人間でもリープフロッグは起こり得ると言います。確かに最新技術を駆使した方は今後も仕事を得られるし、今後は現在、存在していない仕事が急増することでしょう。

そのためにも個々人の日々の自己啓発が必要であり、国もリカレント教育の推進を通して日本人が常に学び続ける仕組みや環境を作るできです。

個々人の努力の結果が最終的には日本のリープフロッグを生み出し、再び世界のトップクラスの国に返り咲くことを祈っています。


リープフロッグ 逆転勝ちの経済学 (文春新書)

リープフロッグ 逆転勝ちの経済学 (文春新書)

  • 作者: 野口 悠紀雄
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/12/17
  • メディア: Kindle版



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2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ【ピーター・ディアマンディス&スティーブン・コトラー】 [書評]

先日、紹介した成毛眞氏著書「2040年の未来予測」の1章に登場する「テクノロジーによる将来」をより掘り下げた内容の本が本書になります。

私は今年でアラフィフですが、本書に記述されている内容をイメージすると本当にそんなことが10年、20年後に起きるのかなと疑問を持ちます。

一方でここ20年のテクノロジー変化を振り返り、かつ、その進化する速度を考慮すると本書にある未来予想はありえない話ではないとも思います。

テクノロジーが進歩し社会のシステムが変わるのは間違いないとして懸念する材料もあります。それはすべての国民がそのテクノロジーの進展による変化に対応できるかわからない点です。

アフリカ諸国がリープフロッグ現象で一気に先進国並みの社会システムを手に入れて一層、発展する一方で日本では高齢化が進み現状維持に固執する方も多いはずです。

政治的に声が大きく影響力のある現状維持志向の高齢者が発想を変えてくれないと、日本は世界からどんどん取り残される危険性があります。

高齢者以外にも様々な方の意見が日本では自由に飛び交っています。民主主義国家として当然のことです。ただ、コロナワクチンは危険だと主張する候補者が選挙に立候補したり、管理社会への恐怖からマイナンバーカードの作成やそれ以前にマイナンバーカード制度自体に反対する人がいたりもします。

先日、コロナ対策に従わない飲食店に東京都が法に沿って「命令」を出しましたが、マイナンバー制度一つを取っても「マイナンバーカード作成は任意」なんて呑気なことをいつまでも言っているとどんどん世界から取り残される気がします。

その点、強いリーダーシップの下、自由はないが最新のテクノロジーをどんどん社会に導入している中国のほうが民主主義国家日本より技術的に勝っているのは皮肉なものです。

恐らく、テクノロジーの進展に付いていけない方が一部で存在してしまうことは、日本だけでなく他の先進国、途上国含めてどこでも起きることなのでしょう。

その結果、アルファベットのKのように金銭的な格差だけでなく生活様式まで格差が大きく開いていくことでしょう。

と、偉そうに現状維持派の方に否定的なことを書いている私ですが、実は私自身が時代から遅れています。タブレット端末は保有しているもののスマホは持たず未だにガラケーです。

ガラケーのため今、色々と話題のLINEやFacebookも未加入です。(PCでもできるようですが。)

バーチャルな世界まで人間関係のストレスで悩みたくありませんし、現状、SNS使用無しで生活に不自由ないのでこのままでも良いかと思っています。

そうです。現状維持派は私のことなんだと思います。(マイナンバーカードは既に作成していますが。)

ただ、ガラケー保有で時代に遅れている一方で本書のような未来予測の本を読んでいる点では必死に時代に付いていこうという意思があるのだと自分では思います。

そんなガラケー使いにもここ数年はスマホ保有でないと厳しい社会になりつつあります。この辺でいい加減、ガラケーは潮時で今年は私もスマホデビューになるのでしょう。

このようにやんわりと時代に付いていけないと生活できないような仕組みを作って国民を誘導する政策や雰囲気が求められるのかもしれませんね。


2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ (NewsPicksパブリッシング)

2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ (NewsPicksパブリッシング)

  • 出版社/メーカー: ニューズピックス
  • 発売日: 2020/12/22
  • メディア: Kindle版



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2040年の未来予測【成毛眞著】 [書評]

ここ数年、どんどん時代が進むスピードが早まっているような感覚があります。

そのようなテクノロジーの加速する進展に付いていくのがきつくなった人、将来の日本の医療年金制度などへの不安から将来を悲観的に感じている人が増えていると思います。

本書は大きく4パートから構成されています。「テクノロジーの将来」「将来の年金、税金、医療費」「将来の衣食住」「将来の天災リスク」についてです。

将来に対して何となく不安を感じている人は、自分が何に対して不安を感じているのか本書を読むことで明確になると思います。

目をつぶりたい将来的に起こり得る出来事が次々と本書に出てきますから、正直、読んでいて気分が沈む人もいるかもしれません。しかし、これが将来起こり得る現実です。

日本マイクロソフトの元社長である著者はテクノロジーの進展が将来の困難を解決してくれることに大きな期待を持っています。

確かにテクノロジーの急速に進む進化は今ある問題を一気に解決してしまう可能性を秘めています。

ただ私が気になったのは最終章の天災リスクについてです。

テクノロジーが地震予知を可能にする時代が来るのでしょうか。仮にその時代が来る前に残念ながら先に首都直下型地震、南海トラフ巨大地震が発生する可能性が高いです。

首都直下型地震、南海トラフ巨大地震、それに加え仮に富士山噴火でも起きようものなら日本経済は壊滅的な打撃を受けるはずです。

その結果、待っているのは国家破綻を避け、かつ、復興に向けての大増税です。安倍前総理は前回の消費税引き上げの際に「今後10年は再引き上げの必要はない」との趣旨の発言をしましたが、仮に上記にあげた天災が起きたら消費税含めて大増税はせざるを得ないはずです。

テクノロジーの進展とともに世界はどんどん先に進むでしょうが、日本は天災リスクというアキレス腱を持っています。

もっとも私は上記の天災が起きても日本は10年単位で見ると立ち直ると楽観的に考えているのですが考えが甘いでしょうか。国家破綻ぎりぎりまで行くかもしれませんが日本という国は残るはずです。天災で多くの犠牲者が出るのは残念なことであり私がその一人になる可能性もゼロではないのですが、日本が天災後の困難を乗り越えて行くことを願っています。

上記の天災は既に来る来ないの話ではなく「いつ来るか」という確実に起きる段階に来ています。コロナで右往左往した政府がその時が来たらどうなるのか少し心配な面もあります。


2040年の未来予測

2040年の未来予測

  • 作者: 成毛 眞
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2021/01/01
  • メディア: Kindle版



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DIE WITH ZERO【ビル・パーキンス著】 [書評]

アリとキリギリスのイソップ物語では最終的にはアリに軍配が上がりますが、疑問点があります。それはアリはいつ人生を楽しむのか(お金を使うのか)ということです。

著者は理想なのは死ぬ時に預金ゼロでも構わないように「今」しかできない経験にお金をかけるべきだと何度も主張しています。

子供がいる場合は子供がお金を必要としている時期に生前贈与をして残った資産は自分の経験、思い出作りに使うべきと書いています。

日本では高齢者の遺産相続を高齢者が受け取っています。著者の調査によると米国では30歳から45歳の間に相続を受けたいと考える人が多いとのことです。

日本の老老相続では本当にお金が必要な時に使うことができません。もっとも教育費として子供に投資することはあります。ただ、日本ではまだ生前贈与のような行為は子供の金銭感覚を駄目にするとかいう理由で否定的な見方が強いです。

若い頃から貯金をして将来に備えることは大事な一方、あまりにストイックな節約は若い時代の思い出作りの機会を無駄にしてしまいます。

引退後に行く海外旅行では思うように体が動かないだろうし、海外旅行の醍醐味は若い時期に行くことであり、得られるものも多いと個人的には思います。

日本のみならず世界中で老後不安からの節約志向が広まっていますが、「今しかできないこと」「思い出作りになる経験」には思い切って貯めている資金を惜しげもなく使うべきです。

著者はアリとキリギリスの話を例に出し、もっとアリは遊ぶべきだしキリギリスも少しは働くべきという上手い塩梅のバランスが人生に必要と書いています。

資産はあの世には持っていけません。かと言って老後も金銭的不安もわかります。でもそれ以上に「今しかできない経験」にお金をかけるべきだと言う著者の意見には賛同できる部分もあります。

高齢者になって金銭的に余裕があっても、できることは限られているし「若い頃にあれをしておけば良かった」という後悔をしないようにバランス良く資産運用と消費を行いたいものです。

そもそも「お金」は使ってこそ意味のあるものなのですから。


DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: Kindle版



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ゼロ・コミッション革命【チャールズ・シュワブ著】 [書評]

ダイヤモンド・オンラインの山崎元氏の連載記事で本書が翻訳・出版されていることを知り、早速Kindleで購入して読みました。

私は約20年ほど前に日本で黎明期だったインターネット証券会社に新卒入社して数年でしたが会社が成長していく過程を見ていましたが、本書で書かれているチャールズ・シュワブ社の内情と似たような場面は私も体験しており懐かしく感じました。

急成長する業界や企業にはどこにでも起こりる事象なのでしょう。

また本書の丁度、半分ぐらいのところでブラックマンデーの頃の回想があります。ショート・プットのポジションを大量に持っていた香港の顧客が大損して会社にダメージが出たとありますが、これって東日本大震災の時に日本のネット証券でも似たようなことが起きたなとふと思いました。

SBI証券や楽天証券は米国のリテール証券事情もよく研究していてチャールズ・シュワブのたどった道を日本流にうまくアレンジしていると思います。(銀行との連携など)

ただ米国のようにFP相談に金を払う文化の薄い日本においてIFAビジネスが米国同様に発展するかは私は懐疑的に見ています。SBI証券と楽天証券などはIFA分野の強化を狙っているようですが今後の展開に注目しています。

また米国で火蓋を切った売買手数料無料競争やロビンフット社の戦略などは金利状況や風習の違う日本でそのまま真似するのも難しいと思います。

インターネット業界の企業が証券業界に新規参入してきて1株単位で売買可能などといったサービスが日本でも見られるようになりましたが、収益化するまで何年かかるのか見ものです。口座数は増える一方でしばらく赤字を垂れ流すだろうと思います。

証券業界(主にネット証券)も投資信託の運用会社も顧客のコストを削減する競争が激化しすぎており業界が保つのか少し心配です。(投資家目線だと大歓迎なのですが。)

主に対面で高齢者相手に商売をしている証券会社、銀行、そして保険会社が現在の主要顧客である高齢者が亡くなったあとにどうやって商売をするのか興味があります。

ゼロ・コミッション革命を読み終え、金融リテール業界は日米のみならず世界中で転機を迎えていると感じました。


ゼロ・コミッション革命―チャールズ・シュワブの「顧客目線」投資サービス戦略

ゼロ・コミッション革命―チャールズ・シュワブの「顧客目線」投資サービス戦略

  • 作者: チャールズ シュワブ
  • 出版社/メーカー: 金融財政事情研究会
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: Kindle版



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証券会社がなくなる日【浪川攻著】 [書評]

1994年にビル・ゲイツが「銀行機能は必要だが、今ある銀行は必要なくなる」との発言をしています。

その後、銀行機能はアンバンドリング(機能分解)されフィンテック企業がIT技術をもって再構築してきています。

著者は証券業界もいずれは今の形は維持できないと考えているようです。

本書の中でIFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)の将来性に期待する記述があります。

個人的には外国のようにFPのコンサルティングに対価としてお金を払う文化が結局、根付かなかった日本ではIFAビジネスも米国のような発展は難しいと感じます。

外国で成功した金融サービス事例がそのまま日本で当てはまらないのは、日本でのネット証券黎明期に外資系の新規参入が苦戦した事例があります。

本書の中で米国のリテール証券業界の流れが書いてありますが、チャールズ・シュワブ社やエドワード・ジョーンズ社などの現状解説はためになりました。

大手証券もIFAも結局は預かり資産の増加を目指しそのフィーで稼ごうとしているのでしょうが、今後、親から相続を受ける世代は自分で低コストの投信を組み合わせて自分でポートフォリオを組むようになるはずです。

いずれラップ口座サービスやロボットアドバイザーサービスより安価な運用が自分の力でできると気がつく方が増えていくだろうと思います。

今後、証券界はSBI証券(SBIHD傘下各社)と楽天証券(楽天経済圏)が抜き出る形になると推測できます。

銀行、証券、保険のリテール営業に言えることですが、現在の主要な顧客である高齢者が亡くなりその資産が相続される将来は、地方銀行の預金は都市部に流れ対面取引はネット取引にシフトして行くはずです。

回転売買ができなくなり預かり資産増加を目標にしたところで儲けの手段はどんどん縮小して行くのは時代の流れだと感じます。

証券業界だけでなく銀行や保険業界の方も参考になる書籍です。


証券会社がなくなる日 IFAが「株式投資」を変える (講談社現代新書)

証券会社がなくなる日 IFAが「株式投資」を変える (講談社現代新書)

  • 作者: 浪川攻
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/09/16
  • メディア: Kindle版



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