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データ資本主義【野口悠紀雄著】 [書評]

ここ数年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。粘り強く様々な素材や方法を試した結果、発明が生まれたのが受賞理由である。

一方、現在、進んでいるデータ資本主義は今までのこうした日本人の粘り強さを超える潜在力を秘めている。

データをとにかく集めて分析・解析することで予想もしていなかった結果が出てくる時代になった。実はなぜそうした新発見が出てきたかというロジックもわからないブラックボックスであるケースもあるらしい。

これからの勝ち組企業はいかに情報、データを集めるか、そしてそれを扱えるデータアナリストがいるかにかかっている。

日本を含めて先進国はGAFAを始めとする企業によるプライバシー侵害に非常に敏感になっている。

一方で共産国家であるはずの中国では国も国民もプライバシーに寛容で、そのうち米国を凌いでデータ資本主義で世界をリードする可能性があるのは皮肉なものだ。共産国家なのに。

GAFAに対するプライバシー規制が高まるほど、中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の技術はどんどん進んでいくことだろう。

今や日本でも至ることろに監視カメラが設置されていて顔画像データが官民で活用されている。

話は変わるが日本ではマイナンバーを活用した資産課税が将来的に必要だと個人的には思っているが、マイナンバーのよる管理制度に反対する国民が多数存在する。

もっともマイナンバーの情報漏れや悪用が起こり得る日本の現状の仕組みを考えるとマイナンバーによる管理社会に反対する人たちの意見もわからないことはない。

ただ、今後、世界は個人がスコア化されていくような息苦しい社会になっていくのは間違いないだろう。

小説1984のような管理社会に寛容な中国が一層、発展し、一方、プライバシーに厳しい先進国が将来、没落していかないようにプライバシーをめぐる議論が活発になって欲しいと感じた。


データ資本主義 21世紀ゴールドラッシュの勝者は誰か

データ資本主義 21世紀ゴールドラッシュの勝者は誰か

  • 作者: 野口 悠紀雄
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: 単行本



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